補足説明 |
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1. JW_Cad図からデータを作成する
2. 応力解析手順の概略
3. ピン接合材端のモデル化
4. 支持点への荷重設定
5. 荷重方向と対称性の利用、断面番号の付け方(一貫計算)
6. 登録鋼材(一貫計算)
7. 外部エディタを利用する
8. 関連ライブラリ
9. FOSSAP_Win仕様付録Q&A
QA01) 入力データの材端条件設定について
QA02) FOSSAPで柱脚の回転バネをモデル化する
QA03) 鉄骨一貫計算に鉄筋コンクリート部材を指定する
JW_Cadで骨組図を用意して、Jwc2BmpXの応力解析支援ツールを使うと、節点座標・部材接続・支持点をJWC/JWTファイルから読み取らせて、FSA/FLA/FSP入力データのドラフトを簡単に生成することができます。
断面特性の諸値、荷重はデフォルトおよびブランクで出力されるので、適宜修正・追記して使用してください。
骨組図記述の線分、実点、仮点はグループ0に作図してください。グループ0以外のデータは無視されます。
1) 節点と節点座標
- グループ0に描かれた各線分の両端の点が、節点として登録されます。
- 節点番号はY座標の小さい順で、X座標の小さい順に付けられます。
- 節点座標は、図面枠(赤点線で示される枠)の左下隅点を座標系の原点として算出されます。
- 原点を別に指定したい時には、任意の位置に仮点を1つ打てば、そこを座標原点として座標値が計算されます。仮点は一番先に打たれた点のみをチェックしており、2個目以降は無効です。
- 節点座標は(cm)系で出力されます。
2) 部材接続と部材種類
- グループ0に描かれた線分は、その両端を部材端とする骨組部材として認識されます。
- 部材の断面種類を区別するには線色と線種を変えて記述してください。線色と線種が同じ線分は、同一の断面種類の部材と認識されます。
- 部材番号は断面種類番号の小さい順で、かつ節点番号の小さい順に付けられます。
3) 断面種類番号
- 断面種類番号は、線分の色と種類から次の式により、計算されます。
番号=(線色)+(線種−1)×6
線色:(1〜6)
線種:(1〜)- デフォルト線色で言うと、断面番号1の部材は水色の実線、番号2は白色の実線、、というふうに書いてください。
- 最大断面番号が使用断面種類数を超えないよう、空き番号の出ないようにしてください。
4) 支持点
- 支持点の記述には、実点を部材端位置に打ってください。
- 支持点番号は節点番号の小さい順に付けられます。
Jwc2Bmp32のバージョン0.74以降では、荷重データの読み込みが可能です。
1) グループ1のレイヤ0から1レイヤに1荷重定義を記入します。
2) グループ1の縮尺はグループ0の縮尺と同じでなくてはなりません。
3) 節点位置の水平方向の文字列はX方向の荷重に変換されます。
4) 節点位置の鉛直方向の文字列はY方向の荷重に変換されます。
5) 節点位置の上記以外の任意方向の荷重はモーメント荷重とみなします。
6) 荷重符号は、文字列に符号を付けて表現します。(0度の向きでも、180度の向きでも荷重の符号は同じです。)
7) レイヤ名称(8バイト)が荷重定義名となります。
8) 文字列をオフセット付きで書くと、文字列位置が節点位置と一致せず読み込みできません。JW_Cadで文字列設定を、0.5mm, 0.5mmなどとデフォルト設定をしている場合には、0, 0に設定する必要があります。
2. 応力解析の概略手順
画面上下方向に1スパンの山型ラーメン架構((A)から(E)のフレーム)で、桁行方向がブレース架構((1)と(2)通り)である鉄骨平屋の建物を例とします。下図は、屋根伏図と(2)通りトラス面架構です。
またラーメン架構と、その節点番号を次に示します。
架構計画が終われば、単位面積当りの屋根の荷重(固定荷重)を長期荷重としてまとめます。
次に、屋根面には風を受けたときに風荷重が、また地震時には固定荷重・積載荷重の大きさに比例して地震荷重が作用しますので、これらを短期荷重として別にまとめます。また積雪を考慮する場合には積雪荷重も別に準備します。
勾配屋根の場合は水平面投影長さよりも勾配の分だけ屋根長さが長くなっているので気をつけましょう。また屋根に上がれる場合は当然長期荷重として積載荷重は見ておく必要があります。
屋根面の荷重は面積分担で最初に受ける部材に負担させます。屋根構成材によって部材は異なりますが、母屋が有る場合にはまずここで屋根面荷重を受けるので、母屋を単純梁や連続梁として設計します。
次には母屋を支える梁(B1〜B3)を母屋の支点反力を荷重として設計します。こうしてだんだんと大きな部材に力を流していくわけです。上の図の例でいくと、屋根荷重は屋根面梁(B1〜B3)から、大梁G1へと、最終的に(A)〜(E)の5つのラーメン架構に流れて行きます。
ラーメン架構側から見ると、伝わってくる荷重は梁からの集中荷重なので (B)通りラーメン架構図の節点2〜8に集中荷重として作用させて架構の応力解析をすればよいことになります。サンプルで屋根梁の直線部分の中間(3,4,6,7)に節点を設けているのは、こうした荷重が加わる所と考えてください。
節点を設ける部位は、支持拘束点や部材断面が変わる所はもちろんそうですが、次のように分布荷重を複数の集中荷重に置き換える場合にも行います。
W (kg/m) スパンL(m)の梁に等分布荷重が作用する場合を考えます。総荷重大きさは W*L (kg)です。これを集中荷重で近似して扱うために下図の様に中間に節点を設けます。
例えば、図の中段のように部材を4分割して中間に3節点を設けた場合、面積分担から考えて1個所当たりP=W*L/4の集中荷重となります。 端部は半分でP=W*L/8となります。
分割は多いほど精度が上がりますが中間に3点取れば実用上は充分です。図の下段のように部材間を5分割して中間に4点も取れば、工学的には十二分な精度が得られます。なお、これは等分布を例としましたが、変分布でも同じ要領で置換できます。
分布荷重については本プログラムでは扱えません。CMQの固定端モーメントをモーメント荷重として入れることにより取扱いできますが、それよりも上の説明のように中間節点を取って複数の集中荷重として扱ったほうが簡単でしょう。解析速度が速いので節点数の増加はそれほど問題とならないし、面倒な節点と部材接続データはJW_Cadからの自動生成を利用すれば苦になりません。
3. ピン接合の材端のモデル化
下図の上段のようなピン接続の部材をモデル化する場合、
図(A)のように部材同士がピンだけでつながった状態となると、プログラムの仕様上の理由により計算エラーとなるので、(B)または(C)のように部材端部がピン同士の結合とならないようモデルを作成してください。
4. 支持点への荷重設定
支点として固定条件を設定した節点に荷重をかけることはできません。計算エラーが出ないときもありますが、部材力の計算結果におかしな値が出たり、作用荷重の合計が支点反力の合計と合わない結果となったり、正解値が得られませんので注意してください。
図中の数字は断面番号を表しています。
左図のような荷重状態では、右と左の柱では応力状態が異なるので、異なる断面番号(1と3)として登録すると異なった部材が算出されます。
中央図のように、反対側からの荷重ケースも作っておいて両側から加力するようにしておくと、右柱・左柱とも同程度の部材が選定されます。
右図のように、最初から、右と左の柱を同じ断面番号(1と1)で登録しておくと、1回の計算で済みます。対称性を考えて入力データを作りましょう。
図中の数字は断面番号を表しています。
左図のように、それぞれの部材をすべて異なる断面番号に指定した場合には、各部材がそれぞれ許容応力比に対してクリティカルになるように決定されます。
右図のように、いくつかの部材に同じ断面番号を指定している場合には、同一の断面番号を持つ部材の中で応力的に厳しい部分の部材の発生応力度から鋼材が決定されます。
右図では、断面番号2の柱が3本あれば3本の柱とも同じ鋼材ランクとして算定されますが、発生応力度の余裕度を見てみると、1本はクリティカルだけれど、他の2本は少し余裕があるという結果になるはずです。
これは、変形制限に関しても同じです。ある1本の柱に変形制限を付けておき、これが変形過大となってランクアップされる場合でその柱の断面番号が他で使われていない場合には、応力の高い柱のサイズだけが大きくなっていきます。同じ層の他の柱も同時にランクアッさせたいという場合には、他の柱にも変形制限設定柱と同一断面番号を付けておくことにより同時にランクアップさせることができます。水平変位が大きいために同じ層の他の柱の剛性も上げて対応したいが、柱サイズを揃える必要は無いという場合には、それぞれの柱部材について別個に変形制限を設定すればよいです。
一貫計算では鋼材の選択に際して接合部の取り合いを考慮していませんので、柱に比べて梁のフランジが幅広になるようなアンバランスな結果が得られることがあります。このようなときには初期鋼材ランク指定を使ってみましょう。特に、水平力を荷重として与えない場合には、水平剛度が小さくて済むため、柱が細く算定されることがあります。
6. 一貫計算用登録鋼材
一貫計算ではFOSS_Winで使用している鋼材表 FOSS4.BLK を参照しており、鋼材番号は、FOSS4.BLK の登録番号と次のように対応しています。
鋼材記号 FOSS.BLK (FOSS.DAT) 登録番号 WH #01: H形断面(広幅) MH #02: H形断面(中幅) NH #03: H形断面(細幅) STK #07: 円形断面 STKR #08: 箱形断面 SH #16: H形断面(外法一定S) SH #17: H形断面(外法一定L) BH #13: 外部登録H形断面(軽量ロールH形鋼) BX #14: 外部登録箱形断面( KコラムP) BCR #18: 箱形断面(冷間ロール成形角形鋼管) BCP #19: 箱形断面(冷間プレス成形角形鋼管) BOX #20: 箱形断面(アール無しボックス材) STKN #21: 円形断面(建築構造用炭素鋼管) HE #24: H形断面(European Wide Flange) IPE #25: H形断面(European I Beam) 従って、ユーザーで FOSS4.DAT を編集することにより、選定対象鋼材の設定変更を行なうことができます。
H型の断面性能の最大のものは中幅系列に含まれています。断面特性として入力時にH型で広幅を選んでいてその中の最大ランクのものでも許容応力度に入らない場合には、自動的に中幅系列にシフトして計算続行します。これは最初に細幅を選択した場合でも同様です。
鋼材記号WHとMH以外の場合には、この系列シフトはありません。最大ランク鋼材でも許容応力度に入らない場合でも警告メッセージを出しながら計算を継続します。このとき結果の余裕度は1を超えて表示され、同時にその部材端力出力の行末にはアスタリスクマークも表示されます。
同じ断面特性の番号を指定した部材は、算定される鋼材ランクも同じになります。ある部材Aには小さい応力しか作用しなくても、同じ断面番号を持つ他の部材Bが大きなサイズと算定されれば部材Aもランクアップされます。
配布時の FOSS4.BLK から読み込まれる標準登録鋼材の一覧を下記リストに示します。
7. 外部エディタの利用
実行ファイル本体と同じディレクトリに、"EDITOR.INI"というテキストファイルを作って、先頭行に、外部エディタをフルパスで記入してください。入力編集・結果閲覧に有効です。
(例)
c:\program files\hidemaru\hidemaru.exe
8. 関連ライブラリ
JWTran32 (Free Software)
JWTranは、バイナリデータであるJWCデータをJWT形式というテキストデータに変換および逆変換して扱えるツールです。JWTran32はWindows95用に上位互換でアップデートしたもので、Jwc2BmpXに搭載されています。
Jwc2Bmp/Jwc2BmpX
(Free Software)
Jwc2Bmpは、Windows3.1上でJW_CAD図をBMPファイル化するために開発され、JWC-JWTなどの変換機能JWTranが付加されました。
Jwc2BmpXは、これをWindows95用に上位互換改訂したアプリで、線分長さ集計・応力解析支援・断面性能計算・土量計算のツール類など種々の追加機能があります。
Jwc2BmpXには、JWTデータを作成するためのプロシジャ・関数群のActiveX.DLLもあります。VBやVBAから呼び出せば、JWTデータを命令一つで出力でき、JW_Cad図を描くプログラムを簡単に書けます。表示プロシジャが使えるので、出力を確認しながらプログラムの開発ができます。
9. FOSSAP_Win仕様
一貫計算では厳密な意味での最小重量の収束計算を行なっていません。ある部材の鋼材ランク変更による剛性比率変化が大きければ、次ステップでの計算で他の部材の必要ランクが直前の計算ステップの時より低下するような場合が発生する可能性が残っていますが、内部ではランクダウンさせないので、結果的に1ランク上の部材が算出されることがあるかも知れません。現在の仕様ではランクダウン処置をすると収束しない可能性が残っているためですが、現実問題としてはこのケースの発生の確率はきわめて低いことから問題になることは無いと思います。