DOS版CONTOUR使用説明書


等高線作図プログラム CONTOUR.EXE
for PC9801/IBM-PC(VGA) Version 3.0 27/Oct/1993
by Yoshiki SAKAI

----------------------------
■■ 概要 INTRODUCTION ■■
----------------------------

平面上に3点があって、それが気圧・温度・高さなどその位置に応じて変化している数値をもっているとします。

例えば次の様な3点を考えると、

点A:X=3,Y=0,高さ6.4m
点B:X=0,Y=4,高さ4.6m
点C:X=5,Y=5,高さ3.2m

 

平面X−Y上に、その値を高さZとして3点をプロットし、それぞれを結び合わせれば高さに応じた勾配を持つ三角形の平面ができます。この3つの点の間で高さは一次式(直線)で変化するものと考えると、この面内の等高線は直線で表されます。広い地図であっても多くの点を取りそれぞれの高さがわかれば、3点ごとに各点を結ぶ三角形に分割しそれぞれの三角形毎に等高線を書いていくことにより、全体の等高線が得られるわけです。

このプログラムは、3点以上の座標値とそのポテンシャル値から等レベルの線を描くもので、建設現場でのレベル測量のような実測値からの等高線の作図から、気象情報からの気圧分布図、有限要素法の出力リストからのポテンシャル線の作図などにまで幅広く応用することができます。

今回のバージョンアップでは、次の2点の機能アップを行ないました。
1)地図のような高さに応じた色塗り分け機能(画面表示時)
2)JW_CADデータとしての出力機能

-------------------------------------
■■ 同梱ファイル FILES ENCLOSED ■■
-------------------------------------

次に示すファイルが含まれています。括弧内は IBM-PC 用の場合です。

CONTOUR .EXE (CONTOURV.EXE)

実行本体

CONTOUR .DOC

このマニュアル

F98_MIN2.DAT (F55_MIN2.DAT)

フォントデータ

F98_PAL .DAT (F55_PAL .DAT)

パレットデータ

SAMPLE1 .DAT

サンプルデータ1

SAMPLE2 .DAT

サンプルデータ2

SAMPLE3 .DAT

サンプルデータ3

SAMPLE4 .DAT

サンプルデータ4

SAMPLE1 .BAS

データ作成補助参考プログラム1

SAMPLE2 .BAS

データ作成補助参考プログラム2

F98_MIN2.DAT / F55_MIN2.DAT は例のミニフォントのデータファイルです。カレントディレクトリに置いてください。

F98_PAL.DAT / F55_PAL.DAT はパレットのデータファイルです。これもカレントディレクトリに置いてください。ノートパソコン等で表示色を調整したい場合はこのパレット設定を適当にいじってください。赤青緑のそれぞれの濃度をPC9801の場合には0から15の範囲で、IBM-PC の場合は 0から63の範囲で指定することによりそれぞれ4096色中あるいは256K色中からの16色を設定できるので好みのグラデーションを作って利用できます。

------------------------------------
■■ データフォーマット INPUT DATA ■■
------------------------------------

インプットデータとして、添付のサンプルデータに示すようなテキストファイルを作成します。データの並びは次のとおりです。

CONTROL DATA BLOCK
  TITLE : タイトル
  NUMBER OF NODES : 総節点数
  NUMBER OF ELEMENTS : 総要素数

NODE DATA BLOCK
  NODE DATA : 節点データ

ELEMENT DATA BLOCK
  ELEMENT DATA :要素データ 

各データの意味はそれぞれ次の通りです。

【TITLE OF FIGURE:タイトル】

作図される図形のタイトルを文字列で1行に記します。

【NUMBER OF NODES:総節点数】

高さ(ポテンシャル値)をもつ点の総数を記します。

【NUMBER OF ELEMENTS:総要素数】

全体図を三角形分割した時の三角形の総数を記します。

【NODE DATA:節点データ】

各節点の節点番号、X、Y平面座標値と高さ(ポテンシャル値)をカンマで区切って記します。節点番号は1からの総節点数までの連続した整数とします。x、y座標値はメートル単位とします。別にメートル単位でなくてもいいのですが、自分で入力単位も統一しておいてください。以下の縮尺などの説明ではメートル単位を前提として進めます。JW_CADデータへの出力時のスケールはメートル単位と想定しています。

【ELEMENT DATA:要素データ】

各要素番号とその要素三角形を構成する3点の節点番号を記します。要素番号は読み飛ばしているので、連続した整数とする必要はありません。自分でわかりやすいように付番してください。

一つの節点に集まる線の最大数は11までとしてください。プロッタ作画時に要素形状を2度描きすることを避けるために設けたソート用の配列のサイズの制限によるものです。

-----------------------
■■ 使用法 USAGE ■■
-----------------------

起動時に入力データファイルをコマンドラインから指定します。添付のサンプルデータを実行してみてください。IBM-PC で DOS/V で使用される方は英語モードから起動してください。(VGA required)

ex) CONTOUR SAMPLE4.DAT

モノクロのノートパソコンの方は、

ex) CONTOUR SAMPLE2.DAT /B

とするとデフォルトのグレースケールのパレットが使えます。

メニューは次の4項目です。

(1) Draw on Screen
(2) Draw on Plotter
(3) Draw on JW_CAD
(4) Calc Cut & Fill
(5) Quit

カーソルキーで処理を選択しリターンキーで決定させます。(以下共通です。)

【Draw on Screen : 等高線の画面表示】

等高線を画面表示します。高さに応じて地図のような色に塗り分けをすることができます。高さ毎の色の凡例は画面右に表示されます。この色塗り分け追加 に合わせ、これまでの簡単なハードコピー機能は廃止しました。

1) INTERVAL OF CONTOUR:等高線ピッチ

等高線を引く高さ方向の間隔を記します。入力データのばらつき程度からプログラム側で判断して4種類のピッチを用意するのでその中から選びます。大抵はこれで間に合いますが、自分で指定したい場合には (USER) を選択す
ればピッチを直接入力することができます。また、今回から (AUTO) を追加しました。これを選択することにより、ちょうど15階調の塗り分けとなるようプログラム側で自動的にピッチを決定します。

塗り分けに使う色はパレットファイルに登録の16色です。低い方のエリアから順に色番号1から15まで使うと、次は色番号0に戻ってまた15まで、という繰り返しです。あまり塗り分けピッチが小さいと、線の間を塗り残したり凡例が表示できなくなったりすることがあります。

2) Display of nodal number :点の番号表示

節点番号値を等高線図に同時に表示するかどうかの選択で、オン・オフのいずれかを選びます。

【Draw on plotter : 等高線のプロッタファイル出力】

HPGLフォーマットに準拠したプロッタ出力を行います。プログラムから
はプロッタに直接出力はせず、一旦 CONTOUR.PLTという名前のファイル名で
カレントディレクトリに出力します。プロッタに描画するには、このファイ
ルをプロッタ接続に合わせて AUX (COM1:) や PRN (LPT:) にコピーします。

ex 1) COPY CONTOUR.PLT PRN プリンタポートに出力
ex 2) COPY CONTOUR.PLT AUX RS232Cポートに出力

1) INTERVAL OF CONTOUR:等高線ピッチ

等高線を引く高さ方向の間隔を記します。入力データのばらつき程度から判
断してプログラム側で4種類のピッチを選択枝として用意するので、その中
から選びます。 自分で指定する場合には 5番目の選択枝 (USER) を選択す
ればピッチを直接入力することができます。

2) Display of nodal number :点の番号表示

節点番号値を等高線図に同時に表示するかどうかの選択で、オン・オフのいずれかを選びます。

3) Paper size for plotter :プロッタ用紙サイズ

プロッタ用紙サイズは、A1とA3のいずれかを選びます。

4) Scale Factor :作図縮尺

等高線図の縮尺を指定します。節点座標X,Yの最大値・最小値をチェックしてプログラム側で画面に納まるような適当な縮尺2種類を標準選択枝として用意するのでその中から選びます。

自分で指定する場合には3番目の選択枝 (USER) を選択し直接縮尺を入力します。例えば、50mの距離をプリンタ上に10cmとして出力するには、500を入力します。

5) Pen Setting :ペンの設定

作図用のペンの設定を行います。作図対象となる要素枠・等高線・5本毎の主等高線のそれぞれの描画に異なるペンを設定できます。

各ペンの設定は、ペン番号が1から8、ペン筆圧は4段階、線種は実線・破線・一点鎖線の3種から選ぶことにより行います。

【Draw on JW_CAD : 等高線のJW_CADデータファイル出力】

JW_CADで扱える形式のデータ出力を行います。CONTOUR.JWCという名前のファイル名でカレントディレクトリに出力します。

1) INTERVAL OF CONTOUR:等高線ピッチ

等高線を引く高さ方向の間隔を記します。入力データのばらつき程度から判断してプログラム側で4種類のピッチを選択枝として用意するので、その中から選びます。 自分で指定する場合には 5番目の選択枝 (USER) を選択すればピッチを直接入力することができます。

2) Display of nodal number :点の番号表示

節点番号値を等高線図に同時に表示するかどうかの選択で、オン・オフのいずれかを選びます。

3) Paper size for plotter :プロッタ用紙サイズ

プロッタ用紙サイズは、A1とA3のいずれかを選びます。

4) Scale Factor :作図縮尺

等高線図の縮尺を指定します。節点座標X,Yの最大値・最小値をチェックしてプログラム側で画面に納まるような適当な縮尺2種類を標準選択枝として用意するのでその中から選びます。

自分で指定する場合には3番目の選択枝 (USER) を選択し直接縮尺を入力します。例えば、50mの距離をプリンタ上に10cmとして出力するには、500を入力します。入力は整数としてください。

作図に用いるレイヤおよびペン設定は次の通りです。

  レイヤ 線色 線形 文字
作図対象となる要素枠 0 1 3 -
等高線 1 2 1 -
5本毎の主等高線 1 3 5 -
節点番号文字 2 - - 2

【Calc Cut & Fill : 盛土・切土量の計算】

指定されたレベルに一様に整地する造成工事と考え、全体の面積と盛土量・切土量および平均地盤高さを計算します。基準レベルを指定してください。

土木工事に縁の無い方は一般的に考えて、指定した基準レベルに対し、そのレベルを越える部分のポテンシャル体積と、そのレベル以下の部分の不足ポテンシャル体積および平均ポテンシャル高さが計算されるものと思ってください。

【Quit : 終了】

DOSに戻ります。

-------------------------
■■ 補足 REFERENCE ■■
-------------------------

データ形式は前述のとおりですが、入力データを簡単に作るためのBASICによる前処理例を紹介しておきます。また、有限要素法等のプログラムの計算結果を図化する場合には、出力ルーチンを書き換えたり、出力ファイルからの変換を行なう等することにより、制御ブロックデータを付け加えるだけとなるので、データ入力を簡単に済ませることができます。

1.SAMPLE 1 : PROCESSING OF SURVEY RESULTS / レベル測量結果の処理例1

サンプルデータ SAMPLE1.DAT は、トランシット・レベル・テープを用いて計51点の位置・高さをランダムに測量した結果をデータにしたものです。測量データとして測量者の位置、各測点への距離、角度が与えられますがこれをプログラム SAMPLE1.BAS で、X・Y座標値への変換を行ない、等高線プログラム用の NODE DATA のブロックをもつリストを出力します。これをエディタで先頭のブロックのデータを付け加え、三角形要素分割し、制御データブロックと ELEMENT DATA を追加して SAMPLE1.DAT のようなデータファイルに仕上げます。

2.SAMPLE 2 : PROCESSING OF SURVEY RESULTS / レベル測量結果の処理例2

測点が網目状に規則正しく並んでいる場合には、データの作成はより容易です。 プログラム SAMPLE2.BAS では、縦方向14点と横方向21点からなる計294点の直交グリッド上の格子点の NODE DATA と ELEMENT DATA を自動的に生成するので、あとは制御データブロックと、高さデータを追加入力するだけです。

-----------------------
■■ おわりに NOTE ■■
-----------------------

その昔、3年半ほど工事監理のため大変不便な所(アフリカ方面)に出張していましたが、そのときに作ったものをアレンジしたものがこのプログラムです。最新の測量機器の揃っている国内では測量結果処理に使うことはほとんど無いと思いますが、有限要素法解析結果の表示などいろいろな用途に応用が可能ですので一度お試しください。国際的にご利用いただいており、英語版マニュアルも当初のバージョンで作ったものがありますので希望者はメールで申し込んでください。

数値演算プロセッサのライブラリを使ってコンパイルしていますので、80x87を装着していれば処理が速くなります。

JWCADデータ形式については勝手な推測に依るところもありますのでひょっとしたらバグが出るかも知れません。

最後に、 本ソフトは著作権を Yoshiki SAKAI が保持するフリーソフトウェアであり、コピー・配布は自由に行なってよいものとしますが、著作権を侵害するような取扱いはしないようお願いします。

---End of file---